会社に新卒採用で入社をし、定年まで働き続ける。
約20年前に、私が大学3年生の就職活動中に当たり前に思っていたことです。
2019年5月、トヨタ自動車の豊田章男社長の「雇用を続ける企業などへのインセンティブがもう少し出てこないと、なかなか終身雇用を守っていくのは難しい局面に入ってきた」という終身雇用に関する発言が話題を呼びました。
日本企業特有の、「新卒一括採用」「年功序列」「終身雇用」は、日本の高度経済成長を支えた制度と言われています。
しかし、近年では人材の流動化が活発になり、終身雇用制度は崩壊したと言われる人もいます。
では、転職活動では、同じ会社に長く勤めていると、採用担当者にどういった印象を与えるのでしょうか。
一昔前までは、1つの会社に長く居続ける方が評価が高いと言われていましたが、昨今ではそうとも言えないようです。
今回は、転職活動で、同じ会社に長く勤めていることでのメリットとデメリットを解説します。
・延べ600社以上の企業の営業担当として従事する
・面接官として1,000人以上と面談
・5,000人以上の新卒学生をサポート
※人材業界で10年以上働いた経験、知識を踏まえて解説します。
終身雇用とは
同じ会社に長く勤めていることでの転職活動でのメリット・デメリットを解説する前に、「終身雇用」を解説いたします。
「終身雇用」とは、正社員で入社した従業員が定年退職まで会社に雇用され続ける制度をいいます。
勤めた年数(勤続年数)が長くなるにつれて賃金が上昇していく制度「年功序列」と、高校、専門学校、短大や大学を卒業した学生を年に1回一括して採用する制度「新卒一括採用」とともに、日系企業の多くの経営で取り入れられている手法です。
この様な制度もあり、日本では、1つの会社に長く勤めることが良いことだと言われてきました。
同じ会社に長く勤めていることでのメリット
転職活動の際に、同じ会社に長く勤めることにより、起こりうるメリットが以下の3点になります。
我慢強いと思われる
日本には、「石の上にも三年」ということわざの意味にあるように、つらくても我慢して続ければ、いつかは成し遂げられるという考えがあります。
そういった考えから、同じ会社に長く勤めていることは、新しい会社に入社した後も、我慢強く、働き続ける可能性が高いように思われる傾向があります。
会社への忠誠心を持つ可能性が高いと思われる
同じ会社に勤め続けるということは、その会社に対して、それなりの忠誠心がなければ続けられません。
したがって、転職先でも、その会社に忠誠心を持つ可能性が高いと思われます。
勤めている会社の業界の知識が高い
同じ会社に勤め続けているということは、その業界に常に触れていることになります。
自ずと知識が高くなり、その業界のスペシャリストに育ちます。
そういった観点から、同じ業界であれば、即戦力になるはずです。
同じ会社に長く勤めていることでのデメリット
転職活動の際に、同じ会社に長く勤めることにより、起こりうるデメリットが以下の3点になります。
新しい環境の適応力に疑問
同じ会社に勤め続けているということは、その会社の環境に向いていたと思われがちです。
また、新しい環境の職場に馴染むことができるかわかりません。
そういった状況から、1つの会社に長くいればいるほど、そこで今後も働いた方が良いのでは?...と考えらてしまします。
実績が正確か判断ができにくい
前職で、実績を出していたとしても、その実績が転職者の実力か、勤めていた会社のおかげなのかの判断がつきません。
もし、複数社勤めていて、どの会社でも実績を上げていれば、新たな転職先でも実績を上げる可能性が高いと判断がしやすいことは確かです。
実際に会社の後ろ盾があったのにも関わらず、自分の実力と勘違いをして、大企業からベンチャー企業に転職をして失敗した事例も少なくありません。
主体的な人材に思われない
転職活動は自分自身の判断でする活動です。したがって、同じ会社に居続けることで、自分のキャリアを主体的に考えられない人と考える会社もあります。
実際に、勤めている会社でどれだけ主体的に働いていたとしても、最後の決定は会社(上司や経営者)の判断になるため、同じ会社に勤めている人材を外資系企業などではこのような見方をすることがあります。
転職エージェントに相談することをおすすめ
転職経験の有無や回数をどのように評価するのかは、それぞれの業界や個別の会社によって異なります。
あなたが希望する業界や会社は、同じ会社に長く勤めていることをどう評価するのかは、転職エージェントに相談するのがいいでしょう。
優秀な転職エージェントであれば、そういった募集要項などに載っていない情報も持っており、教えてもらうことができます。
まとめ
刻一刻と変わっていく今の日本で、実際に転職活動をする上で、同じ会社で長く勤め続けていたことは、メリットであり、デメリットでもあるようです。
あなたにとって、転職活動が有利に進むように今回の実態も知っておくことが大切です。
転職エージェントを上手く活用することで、あなたの職歴を最大限に活かしましょう。