入社したとき、ほとんどの人がその会社で長く頑張っていこうと思ったはずです。
しかし、人間関係、待遇や仕事内容などの様々なミスマッチが要因で退職して転職したくなることは、決して珍しいことではありません。
また、新たなステップアップのために退職して転職を考えている人もいることでしょう。
では、実際に退職をする際はどのような段取りをすればいいのでしょうか。
今回の記事を参考に、円満退職を目指しましょう。
・延べ600社以上の企業の営業担当として従事する
・面接官として1,000人以上と面談
・5,000人以上の新卒学生をサポート
※人材業界で10年以上働いた経験、知識を踏まえて解説します。
円満に退職すべき理由
「どうせ辞めるなら、言いたいことを言って辞めてやる!」と、考えている人もいることでしょう。
しかし、そう考える事情があったとしても、円満退職をした方が、一時の感情に流されるよりも、あなた自身にとってメリットが多いことを理解してください。
・退職までの事務手続きがスムーズにできる
・退職日まで、周囲の人間関係で悩むことがない
・退職する会社の業界で悪い噂がたたない
・転職先にも退職理由を堂々と話せる
・退職後に後味が悪く、引きずることがない
・退職した会社が将来、協力会社になる場合がある
円満退職を目指さなくていい場合
激務で体調を壊していたり、上司から日常的にパワハラを受けている場合は、円満な退職よりも、早く退職することを優先させましょう。
特に日常的にパワハラをしている上司の場合は、退職の意思を伝える際に「辞めたら損害賠償を請求する」と脅してくることもあります。
しかし、焦ることはありません。
日本では「職業選択の自由」があり、退職の意思を示してから14日後には自動的に雇用契約を解除することができ、たとえ裁判をおこされたとしても損害賠償が認められることはありません。
事前準備が大切
就業規則を確認
法的には退職の意思を示してから14日後には退職ができますが、短い日数だと、仕事の引継ぎなどで会社に迷惑をかける場合があります。
会社によっては就業規則に、一ヶ月以上前に申し出なければならないと退職時の規則を設けているところもあるため、確認が必要です。
円満退職を目指すのであれば、就業規則にしたがったほうがいいでしょう。
仕事の進捗状況を整理する
自分自身の仕事の状況を把握し、整理をしておきましょう。
そうすることで、退職するまでに、何をすればいいのか明確にでき、引継ぎもスムーズになります。
会社に退職の意思を伝える
伝えるタイミングが重要
伝えるときは、上司が忙しくない頃合いを狙って話を切り出しましょう。
忙しいときに話をしても、まともに取り合ってもらえません。
まずは、落ち着いて話ができる時間をとってもらうことが重要です。
上司に会う機会が取りにくいのであれば、LINEなどで会う予定を立ててもらうのもいいでしょう。
上司に最初に伝えるのが必須
退職の意思は最初に上司に伝えることを心掛けてください。
仲の良い同僚などに退職の話を先にして、何かのきっかけで上司にその話が伝わり、心象が悪くなったり、直接伝える前に辞めないように仕向けられて、退職がこじれる場合があります。
どれだけ親しい間柄の人がいたとしても、最初に上司に伝えることが必須です。
退職理由はポジティブで明確に伝える
当たり前のことですが、退職の意思を伝える際に退職の理由を聞かれます。
その際は、ポジティブな理由を明確に伝えることをおすすめします。
「人間関係に不満がある」「給料などの待遇に不満がある」「仕事内容に不満がある」などのネガティブな理由を伝えると、納得してもらえない場合があります。
それは、ネガティブな理由のほとんどが、転職せずとも、今の会社でも改善できる内容だからです。
上司としては大切な戦力の一人であるあなたを引き止めたいと考えるはずです。
「人間関係に不満がある」→「新しい環境で自分を試したい」
「給料などの待遇に不満がある」→「違う会社での自分の価値を知りたい」
「仕事内容に不満がある」→「別の分野で自分のスキルを磨きたい」
と、ポジティブな理由に変換した言い回しで明確に説明をしたほうが、会社としても快くあなたを送り出してくれる可能性が高くなります。
退職後に無職の期間がある場合に必要な手続き
私は、転職先を決定してから退職することを強くすすめています。
とは言うものの、色々な事情で転職先を決めずに退職してしまう場合もあるでしょう。
その場合は、転職先でやってもらえる様々な手続きを自分でしなければいけません。
この、自分でしなければならない手続きをおろそかにしてしまうと、後で損をして、後悔することになります。面倒に感じるかもしれませんか、忘れないようにしてください。
失業保険(失業手当)
自己都合退職の場合、3ヶ月の待期期間を経て失業保険の給付を受け取ることができます。(会社都合退職の場合だと1ヶ月の待期期間で失業保険を受け取ることができます。)
退職前の給料(賃金日額)の50%〜80%が支給されます。
年金・健康保健
会社員の間は、厚生年金に加入してますが、無職になると国民年金へ切り替えになります。
うっかり切り替えを忘れてしまうと、未払い期間ができてしまい、将来の年金が減額されてしまいます。
また、健康保険から国民健康保険への切り替えも必要です。
こちらも切り替えておかないと、保険がない状態になるため、病院などでの費用を全て負担しなければなりません。
どちらも退職日から14日以内に最寄りの市町村の役所で手続きが必要です。
税金
会社員の間は、会社が納税を代わりにしてくれていますが、無職になると自分で手続きをしなければなりません。
手続きしなければいけない税金は、住民税と所得税があります。
住民税は前年の所得に対して課税され、翌年に納付します。
会社員の間は「特別徴収」といい、6月~翌年5月まで12分割で毎月の給料から天引きされますが、無職になると「普通徴収」になり、一括または4回の分割払いで自分で支払わなければいけません。
所得税は1年の総収入を想定して、給料から源泉徴収されます。
無職になると、無職の期間は給料がないため、その間は所得税は掛からないため、確定申告をすれば払いすぎた分が戻ってきます。
→退職して無職の期間ができる人が必要な5つの手続き(失業保険・年金・健康保険・住民税・所得税)
転職エージェントに相談することをおすすめ
それぞれの会社の状況によって、円満退職をする方法が多少違います。
転職エージェントを有効活用し、アドバイスをもらうこともいいでしょう。
退職代行サービスを活用する人も増えている
近年では、若者を中心に退職代行サービスを利用して退職をする人も増えてきています。
決して円満退職とは言えない方法ではありますが、手段の一つと知っておくことにより、精神的に楽になるかもしれません。
まとめ
あなたが優秀であればあるほど、退職することは会社にとってマイナスであることは否めません。
そういった事実を理解した上で会社に対して接することが大切です。
円満退職は、あなたにとってもメリットがあり、あなたの今後の経歴にも大きく影響することでしょう。
せっかく働いていた会社、後腐れなく退職したいものです。
今回の記事を参考に円満退職できるように努めてください。